みなさんにこれまでとは違ったアプローチで商品の魅力をお伝えしたい。

今回初めて、ライターさんに取材&進行役を依頼し、「クロストーク企画」を行いました。
私達にとっても、スタッフがどのような想いで製品作りに向き合っているのかを確かめ合う、とても良い機会になりました。
皆さんに「43DEGREES」をより深く知っていただける記事になったと思っています。

43DEGREES
スタッフプロフィール

<右>
プロダクトマネージャー
沼田 大資

宮嶋学園ファッションドレスメーカー専門学校ビジネス科を卒業後、毛皮製造卸販売メーカー・ジーンズカジュアル専門店・紳士服専門店を経て、2012年よりFour Seasonsに参加。 これまでの経験を活かし、スノーボードウェアを中心とした商品の研究・企画・開発を担う。 夏はフルマラソンに登山、冬は元旦から登山にスノボーと絶えず自然と遊び商品製作に活かしている。

<中央>
代表取締役
山下 勝彦

1998年に札幌市内にスノーボードのプロショップを構えるBanana Club Co.,Ltd.に商品企画職として入社。カナダのトロント発祥のウェアブランドRIPZONEの日本代理店業務を担当。 10年以上に渡り商品の生産管理やアパレル、シューズなどウェア以外のサブカテゴリーのライセンス展開を主導し、ブランドマネージャーとして活動する。 2008年に独立後、現在の主力ブランドでもある43DEGREESを立ち上げる。 車で1時間の距離に上質なパウダースノーが豊富なゲレンデが幾つもある好立地に移住し、夏はゴルフ、冬はスノーボードとアウトドアライフを満喫している。

<左>
グラフィックデザイナー
大場 雄亮

札幌デザイナー学院卒業後、複数のデザイン事務所を経て、2015年よりFour Seasonsに参加。 過去にはOKI DUB AINU BANDやHERBEST MOON等、北海道に関わるアーティストのCDジャケットデザイン、 サカナクションやモエレ沼公園、ライジングサンロックフェスティバル×BeamsTなどのTシャツデザインを手がける。

 


 

vol.2「今」の全てを詰め込んだボードウェア

取材・文:道上 寿人(株式会社ウツワニウム)

「自分達が着たい」という感覚を大切に

―今年のボードウェアが完成しましたが、感触はいかがですか?

沼田:今年のウェアは、僕ら自身が着たいと思う商品に近づけたと思ってます。今まではもっと個性的な柄でカラフルなものを作ってきていて、 やっぱりどこかで少し『きっとこれがカワイイんだろうなー』とか想像して作ってたりしていたんです。でも実際にユーザーがどう反応しているか結構わからない部分も多くて。じゃあ、僕らが着たいもの、ずっと着ていけるもの、そういったものを作れたらなぁーって。

―そういう意識は今年が特に強かったんですか?

沼田:ここ数年で徐々に、自分達の視点というものを大事にする流れになってきたかな、と。
大場:ずっと「こうだったらお客さんが喜ぶんじゃないかなぁ…」という形で作ってきたところはあったので。 でも裏を返せば自分達が良いものを作ればお客さんが喜ぶんじゃないかって。当たり前ですけど(笑)。43DEGREESのコンセプトの”アーバンアウトドア”に合うような街中で着れるものだったり、カラフルな柄物だったり、 トータル的にバランスよく展開してお客さんに選んでもらいたいです。

コンセプト作りから始まった今季のウェア作り

―いつ頃からボードウェアの制作を始めるんですか?

沼田:今ぐらいの時期(11月頃)から。展示会とか見て。リサーチからですね。
山下:それと先ほども言ったように、札幌近郊にはゲレンデとかそういう環境が揃っているから、実際に使って見てどうだったのか?というお客さんの声が一番早く正確に評価が分かる。 そういう声も活かして、次の商品プランを立てます。やっぱり前年のウェアより良いもの作らないといけないじゃない?
沼田:今季のウェアの場合は、まず『コンセプト作り』から入りました。今までよりももっと具体的に、こういうコンセプトで行こうっていう話し合いから。
山下:今回は今までとは違ったアプローチだった。もうなんか3人でやりたいことやるか!みたいな(笑)
沼田:超軽量。超撥水。超ストレッチ。まずこの3つのコンセプトを先に決めて、そこから色々セレクトしました。

「軽い」ということは「疲れない」ということ

山下:まずは超軽量。軽いっていうのはとても良いことじゃない?単純に着ても疲れないから。軽い薄いだと心もとなく聞こえるけど、軽くて暖かくて動きやすいものをデザイン云々の前に追求した。
大場:ストレッチ性があって動きやすいから、軽くも感じるんですよね。
沼田:結局ストレッチがある分だけ、体にかかる圧力が分散されるので、軽く感じるんです。そうすると、ウェア自体の重さじゃなくて、体感としての重さ、動いた時の重さが変わってくるんですよ。 一番ゲレンデで体力使うのって、転んで地面に手をついた状態から起き上がる時。これってかなり疲れるんですよね。ただこのストレッチがあれば、思う存分楽しめる。
他にも、このパンツ見て下さい。膝の部分がポコって立体的になってますよね! 縫い込みなんかで立体的にしてるんですよ。
山下:ボードって腰落として膝曲げてる姿勢が基本でしょ?その時の負担が少しでも軽くなるように。
沼田:パンツの股間部分の縫い目も無くしてます。縫い目が無くて面になってる方が、足を広げた時にグーンと伸びるし、縫い目にかかる力が分散して裂けにくくなるんです。ストレッチ性も発揮できて、思う存分活動できると思います。

腰を落として膝を曲げるのがボードの基本姿勢。パンツの膝部分を立体的に作ることで、基本姿勢時の負荷を軽減している。

着たいサイズを着れる喜び

沼田:ストレッチ性を高めると、他にも色々効果があって。最近フィッティングルームの店頭で実際にご案内したお客さんは、体格的にはMサイズなんだけど「やっぱり細いウェアパンツを履きたい!」という方がいてXSで購入されたんですよ。 少し極端な例ですけどね。さらに、43DEGREESのウェアパンツには調整機能もついていて、横のファスナーで4サイズぐらい大きく調整できるんです。
山下:結構ボードやる人は下半身しっかりしてる人多いからね。そういう人にはいいよね。
沼田:例えばウエストで履きたい人、腰骨で履きたい人とか、それぞれに対応できる。でも膝周りとかふくらはぎの部分は、細く履ける。
山下:シルエット崩さないで履けるっていうのはいいよね。結構サイズ感で商品気に入っても、購入できない人って多いからさ。自分の体型に合わないから諦めるとか。それってやっぱり悲しいことだから。

(左)パンツの裾部分のマジックテープはあえて太く作ることで、靴のサイズなどに合わせて履くことが可能。
(右)パンツのウエスト部分のファスナーで4サイズ程度大きくサイズ調整ができる。

水の侵入を防ぐだけが「撥水」ではない

―「撥水」というコンセプト、ある意味ボードウェアだとよく耳にするワードですよね。

沼田:確かに普通っぽいですよね。でもお客さんがイメージする撥水って、水を弾いて中に入ってこないってことだと思うんです。 今回この撥水に『超』をつけたところが、実を言うと「透湿性」を持続させるための撥水に注目して撥水に力を込めました。

―「汗」ですか?

沼田:具体的には透湿8,000と言う数字で表すんですけど、ウェアの中で汗をかいても24時間で8リットルの水分を発散できます。 ウェアの中の水分(汗)を逃がすために、コーティングしてるフィルムにちっちゃい穴が空いてるんですよ。分子の大きさ的に水蒸気は通り抜けるけど、水の分子は通さないっていう構造。でもその穴が水で詰まっちゃうと意味が無くなってしまう。 だからその穴を塞がないために、雪や氷、そして汚れなんかも生地から遠ざけることが重要になるんですよ。
山下:俺らが子供の頃なんて、背中にタオル入れていたからね(笑)あれ汗でビッチョリになるから、それをそのままにして一日過ごすと、身体が冷えちゃう。 それをまず根本的に汗を外に逃すことで防いでる。でも反比例するはずでしょ?液体が出るってことは、入っても来れるってことだから。そのための撥水・透湿・耐水が重要なんです。

ウェアの生地に霧吹きで水をかけた写真。大きい水の塊をコロコロさせる映像などはよく見かけるが、小さい水滴を転がす方が実は難しい。

山下:内側に水を染み込ませない『耐水』は結構みんな意識するんだけど、でも本来は中の水蒸気を発散させる『透湿』の方が大事なはずなんですよ。 やっぱり滑ってる時って蒸れたりするのが一番不快でしょ?外側は多少濡れても、体への影響ってそこまでないけど、内側は一回濡れちゃうとなかなか乾かない。
沼田:だから暑いんだけど不快じゃないですよ。不思議な感覚ですよ、暑いんだけど着ていられる。

ウェアの内側の部分の生地を変えて、発汗性が高く透湿したい部分と保温したい部分を分けている。

43DEGREES 全9パターン スノーボードウェア メンズ 上下セットPeak Jacket + Hang Pants